恋のトリセツ

「妻のトリセツ」が職場で流行った、黒川伊保子さんの本。なんというか、作者の恋関係のエッセイ集。申し訳ないけど、「それ、あなたの感想ですよね」というのが先にたつ、勿論、この本に書かれた以上に最適な論のデータは自分は持ち合わせていない。

・男は彼女だけが知る秘密を作ろう。他の人が知らないことを知っている余裕が、彼女を疑心暗鬼から救ってくれることがあるから。女は沈黙を楽しむ余裕を持とう。傍らにいるひとに「安寧な沈黙」をもたらす。

・私が所有できない彼の時間を埋めるのは悲しい。「昨日は何をしていたの?」「明日はどうするの?」という質問をしない。→感想:カサブランカだな。「そんな昔のことは覚えてない」「そんな先のことは分からない」

・少女がおとなになる術と、少年がおとなになる術は、まったく違うオペレーションになるわけだから。

・「親に誉められる娘」として自我の輪郭を書き、「恋人に愛される女」として、また自我の輪郭を描くのである。子どもを産めば、しばらくは母親としての使命感に深く支えられる。「承認欲求の呪縛」

・亭主はぼんやりしているふりをして、彼女に先導されて歩くのが一番覚えめでたいのであって、けっして効率的な暮らしをしようとなんか思っちゃいけないのだ。

・舌に強い前向きの力を加える音に続いて、肺の中の息を全部出し切る音が連なるおかげで、息が足りなくなり、一息つくことになる。

・男の正体は億劫がりなのであって、女の誹りを受けて立つほうがさらに億劫なので、それを隠す程度に動いてみせる。その正体を見せてしまうのは、よほど見くびった場合か本当に信頼した場合しかない。

・息を呑んだ後の呼気を待って、抱きしめてやるのだ。息を吐く瞬間の抱擁は効く。

 

 

 

文中でいくつか出てくるが、”発音→連想/想起される感情”をこの作者の中に持っている(情緒を工学として扱う研究者らしい)。検証していないが、ご本人には50音分はありそう。そこから思うのは、<まだ名前のない感情に対して、矢印を逆方向に効かせて音を作り、新しい単語を作れそう>な気がする。とはいえ、多分"発音→感情"は現時点で全員に対して共通化できるほど整理されてはいないと思うし、”→感情”の部分は多数ルートがあるので逆向きに使うのは難易度が高そう。